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企業年金

 JALの企業年金が話題になっています。JALを完全に清算するわけにはいかないという点では、大半の意見は一致しています。でも、月に25万円を超えるような企業年金まで守らなければならないのかというと、多くの国民は「そこまでしなくても、いいのではないか」と思っています

 

 企業年金は、企業側と従業員側がお金を出し合って積み立てる方式が一般的です。従業員が賃金の一部を出しているのですから、企業が倒産したとしても、いちばん最初に守られる債権です。これを変えるとなると、JALだけにとどまらない大きな問題になってしまいます。

 企業年金については、「他の日本企業も多額の積み立て不足がある」という報道もあります。これは、事実です。日本企業の企業年金は、株式で運用されている部分が多いので、最近のように株価が低迷すると積み立て不足が起こります

 

 しかし、その事実だけで大問題だというのは間違っています。年金は60年を単位として考えなければならない制度です。確かに目の前の積み立て不足は深刻ですが、時間の経過とともに帳尻があっていけばいいのです。

 

 積み立て不足に関連して、マスコミは危機感をあおるような報道をしています。不用意に、不正確な情報を流していることの方が実は大きな問題です。マスコミの報道を見ていると、とても気になる言い方がしばしば出てきます。「企業年金がたいへん深刻な状況にある。これでは、国民の将来の生活が不安だ。経営者は、しっかりしてほしい。」

 

 企業年金という制度は、経営者だけではなく従業員も企業の将来に関心を持って行動することを求めています。通常、定年退職間際になると、企業の将来に関して関心を持たなくなるのが普通です。しかし、企業年金があれば、自分が退職した後の企業の行く末に関心を持たざるをえません。それは、企業年金が企業の存続を前提としているからです

 

 目先さえ良ければいいという行動ではなく、10年後も20年後もこの企業が存続し繁栄するような経営施策を労使双方が考えることが企業年金という制度には込められています。これがわかっていないマスコミは、経営者の責任ばかりを取り上げます

 

 企業は、経営者と従業員が協力し合って盛り立てていくものです。日本の企業は、1980年代まで普通にそうしてきました。しかし、バブル後にその気風は薄れ、経営者は目先の利益追求に走り、従業員は上司から言われたことだけやっていればいいという萎縮した状態になりました。これでは、日本企業の隆盛はありえません。

 

 企業は、株主だけのものではなく社会のものです。従業員、取引先、お客様など、企業に関わってくれている人たちすべてのものです。その企業がまっとうな経営を続けていくために、経営者も従業員も力を出す必要があります。企業年金は、そのしくみを補強するために存在していることを知らなければなりません

 

 自助努力の精神が、いまの日本には必要です。企業は、従業員のやりたいことを実現する枠組みを提供してくれます。言われたことだけやっていればいいという受け身の姿勢から脱し、積極的に仕掛けることが日本企業と日本社会の再興のために求められています

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