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日本が世界のお手本になる(4)

―高齢者雇用はイノベーションの源泉―
5.高齢者がイノベーションを起こす
イノベーションの出発点は問題に気づくこと

 企業が競争を生き抜くにはイノベーションが必要である。イノベーションとは、新しい技術や仕組みを生み出すことであり、一般的には、若年層や壮年期の人 によって担われると考えられている。しかし、組み合わせ方を変えることもイノベーションの一形態であり、その分野で高齢者が活躍できる範囲は広い。


 イノベーションの出発点は、私たちが感じている問題や不自由さである。何かうまくいかないとか、もう少しこうなったらいいのに、といった感覚から、新し い製品やサービスが生まれてくる。高齢者が増えてくると、これまでは問題にならなかったことが問題になる。それにいち早く気づくのは高齢者自身である。そ れゆえ、従業員の中に変化に気づける人すなわち高齢者がいないと、企業はイノベーションの種を見逃してしまうことになる。

 不自由さに気づいたら、それへの解決策を考え出すチームを作る。若年層、中堅層、そして高齢層を混合して編成することが不可欠である。高齢者は、長い職 業生活の中で蓄えてきた情報が豊富である。若年層や中堅層は新しい技術を知っている。これら年齢の異なる層が議論することで、新たな知の創造が起こる。
例えば、高齢者にとって当たり前のことが若手には理解できない場合がある。そんなとき、高齢者は、若手にわかってもらえるように説明を試みる。言葉を選 び、具体例を示しながら言葉を綴る。すると、そこから新たな発見が生まれる。読者の方々にもご経験があるのではないだろうか。誰かに説明するために話して いると、自分自身の考えが整理され、物事の新たな側面に気づくことが…。

組み合わせがイノベーションを起こす

 高齢者の持つ知識や経験が単独で生きることは少ないと考えられる。でも、そこに別の情報を組み合わせることで、世の中にはなかった新しいものが生まれて くる可能性がある。例えば、プロジェクトチームの中に海外駐在経験が豊富な高齢者を加えると、議論の幅が広がる。日本の社会インフラは、世界一整ってい る。停電はまれだし、鉄道は正確に運行されている。郵便は正確に届くし、ほぼ24時間欲しいものを買うことができる。このような便利さは、日本にずっと住 んでいると当然のことになり、その素晴らしさがわからなくなる。海外に初めて赴任した日本人が最初に面食らうのは、生活面の不自由さである。

 しかし、現地の人たちはその中で普通に暮らしている。不自由さや不便さを補う生活の知恵を持ち、快適に生き、人生を楽しんでいる。海外駐在経験者は、そ のような実態を目の当たりにし、さまざまなことを考えてきた。日本のことしか知らない若手や中堅とは異なる視点を提供できるはずである。

 このようにして、高齢社会の不自由さをいち早く解決する財・サービスを生み出すことができれば、これから高齢化する他の国々に売ることができる。 1960年代の公害問題に苦しんだ日本が、世界最高の公害防止技術を生み出したのと似た現象がこの分野でも起こることになる。65歳以上人口が全人口の4 分の1を超えるような社会は、私たちにとって未知の領域であり、不安になるのは当然である。しかし、他国も同じように高齢化しているいま、大きなビジネス チャンスにあふれていると考えることもできる。果敢に挑戦して世界の範となることが日本の使命である。

 

6.経営者の決断が必要だ!

 さまざまな可能性を持った高齢者に活躍の場を用意するには、経営者の決断が欠かせない。高齢者を雇用しようとすると、マイナス面ばかり強調する人たちが いる。高齢者は体力が落ちていて動作が鈍い、新しい技術に対応できない、頭が硬い、文句ばかり言って動こうとしないなど、問題点を指摘し始めればいくらで も出てくる。しかし、そういった意見をはねのけ、高齢者雇用が持つプラスの側面を強調して企業の人事施策の中心に据えるには、「これはわが社にとって必要 なことだから断固進める」という経営者のひと言が欠かせない。

 経営者をその気にさせるには、ダイバシティ・マネジメントの考え方を強調すると良い。人口構成の高齢化は、お客様が高齢化することを意味する。お客様が 本当に必要としておられるものは何かを知るには、従業員の中にお客様の気持ちのわかる人たちがいなければならない。すなわち、高齢の従業員である。

 企業の目的は、世の中の困っている人に解決策を提供することである。その解決策をお客様が使ってくださり、支持してくださるからこそ、売上があがって従 業員に給料を払えるのである。企業である以上、利益を出すことは必要だが、利益は結果であって目的ではない。もし、企業が利益をあげることを第一の目的と して行動するならば、その企業は早晩衰退していくだろう。

 日本企業の経営者が高齢者雇用の持つ可能性と重要性をしっかりと受け止め、先頭を切って挑戦するようになれば、日本は世界中から尊敬される国になるはずである。「日本復活のカギは高齢者雇用にある」と言っても過言ではない。

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