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閉じこもるインターネット

 あなたが使っているグーグルの検索エンジンと私が使っているグーグルの検索エンジン、同じ言葉を入れて検索しても結果が異なるというのをご存じですか?私は、イーライ・パリサー著『閉じこもるインターネット』(早川書房、2012年)を読むまで知りませんでした。

 グーグルは、ユーザー一人ひとりの好みを学習し、各人が興味を持っている分野に合わせて、検索結果を出すアルゴリズムを導入しているそうです。そういえば、最近、「ビジネススクール」という単語を入れて検索すると、私が所属している大学院がトップに出て来ています。「ウチも有名になったな」と思っていたのですが、グーグルが勝手に私に合わせた検索をしていたのですね。

 うーん、これって何なんだろう?と考え込んでしまいましたthink

 

この本の原題は、The Filter Bubble; What the Internet Is Hiding from Youです。直訳すれば、「フィルターの泡;インターネットがあなたに見せないようにしているもの」となります。私たちは、検索エンジンによって泡の中に閉じ込められ、それを通して世界を見ているというのが著者の主張ですwobbly

 

 「へぇー、そうだったの」という話がたくさん出て来ます。例えば、ある人がグーグルのメールを使っていると、グーグルはその人の文章を解析して、教育程度や好みをデータベース化します。グーグルは、その人が検索エンジンを使うとき、その人の好みに合った情報がヒットするように操作します。こうすることで、その人が潜在的にほしいと思っている商品のサイトが出てくるため、その商品を提供している会社の売上が伸びるのです。これは、ビジネスになりますflair

 

 著者のパリサー氏は、自分が好む情報にしか接しない状態が続くと、発想力が貧困になり、新しいものが生まれにくくなる点を指摘しています。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者が行った次のような実験が紹介されています。

 

 まず、2つのグループにそれぞれ別の話を読んでもらいます。Aグループは、ストーリーがとても単純でハッピーエンドに終わる話を、Bグループは、荒唐無稽な情景がたくさん出て来て、前後関係を理解するのがとても難解な話を読みます。その後で、数字の並びからいくつかのパターンを見つける作業をしてもらいます。結果は、Bグループの方がほぼ倍の成績をおさめたそうです。学術研究ですから、いろいろな条件をコントロールして行われた実験です。信憑性は高いと思います。

 

 この実験が示唆しているのは次の点です。私たちは、混沌とした状態におかれたとき、そこに何らかの意味を見いだそうとして必死で考える。それが脳を活性化させ、新しい発想を生み出す力になる。

 おわかりですね。自分の好みのものばかり見ていると、私たちは発想が貧困になってしまうのです。いつもとは違うものを見たり、いつもとは違う人に会ったりすることで、脳は刺激を受け、独創性を持つことができるのです。

 しかし、最近のインターネットの検索エンジンは、私たちの発想力を弱くする方向に動いています。このままだとたいへんなことになるというのが、パリサー氏の問題意識です。

 

 私もパリサー氏の意見に賛成です。私は、もともとグーグルのメールを使っていませんので、私の好みはさほど把握されていないと思います。しかし、検索においては、あまり多様な言葉は使ってこなかったように思います。

 これからは、意図的に、あまり興味のない言葉も検索エンジンに入れて、グーグルのアルゴリズムのバブルに閉じ込められないように気をつけたいと思いますban

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