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112 外国語の呪縛を超えて

 英語を社内の公用語にするという会社が少しずつ出てきています。楽天やユニクロがマスメディアに取り上げられ、入社式において英語でスピーチする社長の姿が放映されていました。

 

 日本の会社で、しかも外国人社員はごく少数なのに、英語を公用語にするというバカなことをなぜするのだろうというのが、筆者の率直な感想です。

 

 筆者は、外国の人たちと議論する機会が良くあります。意思疎通するために、相手がわかる言語を使って話します。日本語が堪能な方であれば日本語を使います。日本語がわからない方であれば英語を使ったり、他の言語を使ったりします。

 

 言語は道具であり、目的ではありません。その場に最も適した道具を選ぶようにしています。

 しかし、最近の風潮を見ていると、いい道具を持っていることこそが重要だと誤解しかねません。特に、学生たちは、英語ができなければいい会社に就職できないと思ってしまいます。英語は良くできるけれども仕事ができない人、TOEICで900点以上のスコアを出すけれど、社内で重要な仕事を任されていない人がたくさんいるという事実は、ほとんど伝わってきません。

 

 

 日産自動車に勤めている友人がこんな話をしてくれました。

「日産は、事実上、外資系の会社になっています。社内に外国人がたくさんいて、英語で会議を行うことは日常茶飯事です。でも、決して英語を公用語にすることはありません。日本語がわかる人たちばかりであれば日本語で会議をしますし、日本語がわからない人が一人でもいれば英語で会議をします。わかり合うためにどうするかが大事なのです。社内の会議なんて、日本語と英語が入り乱れて使われています。それで、参加者全員が意思統一できればいいのです。」

 

 

 私たちには、外国語コンプレックスがあります。特に、それは英語に対して顕著だと思われます。でも、人口規模が5000万人以上の国に暮らす人たちは、おしなべて外国語が不得意です。おそらく世界中で最も外国語が下手な国民はアメリカ合衆国の人たちです。彼らは、自国の言語を使って世界中で生きていけるので、わざわざ外国語を覚えようとはしません。

 

 

 ヨーロッパでは、ドイツ人、フランス人、イギリス人、イタリア人が外国語下手の人たちです。国内マーケットが大きいので、自国の言語だけで十分仕事をしていけるからです。他方、ベルギー、オランダ、デンマーク、スウェーデンといった国の人たちは外国語がとても上手です。それは、国内市場が小さいので、他の国々と交易しないと生きていけないからです。

 

 

 日本は、1億2800万人の大きな国です。日本人が外国語が下手なのは、世界標準からいうと当然です。日本は貿易立国だと言われますが、GDPに占める輸出の割合は15%でしかありません。外国語を話さなくても十分に生きていけるだけの経済規模を持っています。

 

 

 そろそろ、外国語コンプレックスを捨てて、本当に必要なものを見極めたいですね。本当に必要なものとは、新しいものを生み出す力、ゼロから1を創り出す力です。外国語学習に使う時間を議論や読書にあてた方が、企業の競争力を高める上で、はるかに高い効果があると思います。

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