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115 高齢者がイノベーションを起こす

イノベーションの出発点は問題に気づくこと

 

 企業が競争を生き抜くにはイノベーションが必要です。イノベーションとは、新しい技術や仕組みを生み出すことであり、一般的には、若年層や壮年期の人によって担われると考えられています。しかし、組み合わせ方を変えることもイノベーションの一形態であり、その分野で高齢者が活躍できる範囲は広いと考えられます。

 

 イノベーションの出発点は、私たちが感じている問題や不自由さです。何かうまくいかないとか、もう少しこうなったらいいのに、といった感覚から、新しい製品やサービスが生まれてきます。高齢者が増えてくると、これまでは問題にならなかったことが問題になります。それにいち早く気づくのは高齢者自身です。それゆえ、従業員の中に変化に気づける人すなわち高齢者がいないと、企業はイノベーションの種を見逃してしまうことになりかねません。

 

 不自由さに気づいたら、解決策を考え出すチームを作ることになります。若年層、中堅層、そして高齢層を混合して編成することが不可欠です。高齢者は、長い職業生活の中で豊富な情報を蓄えています。他方、若年層や中堅層は新しい技術を知っています。これら年齢の異なる層が議論することで、新たな知の創造が起こるのです。

 

 例えば、高齢者にとって当たり前のことが若手には理解できない場合があります。そんなとき、高齢者は、若手にわかってもらえるように説明を試みます。言葉を選び、具体例を示しながら言葉を綴っていきます。すると、そこから新たな発見が生まれるのです。

 

 

組み合わせがイノベーションを起こす

 

 高齢者の持つ知識や経験が単独で生きることは少ないと考えられます。でも、そこに別の情報を組み合わせることで、世の中にはなかった新しいものが生まれてくる可能性があります。例えば、プロジェクトチームの中に海外駐在経験が豊富な高齢者を加えると、議論の幅が広がることが期待できます。

 

 日本の社会インフラは、世界一整っています。停電はまれだし、鉄道は正確に運行されています。ほぼ24時間欲しいものを買うことができるという便利さは、日本にずっと住んでいると当然のことになり、その素晴らしさがわからなくなってしまいます。海外に初めて赴任した日本人が最初に面食らうのは、生活面の不自由さです。

 

 しかし、現地の人たちはその中で普通に暮らしています。不自由さや不便さを補う生活の知恵を持ち、快適に生き、人生を楽しんでいます。海外駐在経験者は、そのような実態を目の当たりにし、さまざまなことを考えてきた人たちです。日本のことしか知らない若手や中堅とは異なる視点を提供できるはずです。

 

 このようにして、高齢社会の不自由さをいち早く解決する財・サービスを生み出すことができれば、これから高齢化する他の国々に売ることができます。1960年代の公害問題に苦しんだ日本が、世界最高の公害防止技術を生み出したのと似た現象がこの分野でも起こることになります。

 

 65歳以上人口が全人口の4分の1を超えるような社会は、私たちにとって未知の領域であり、不安になるのは当然です。しかし、他国も同じように高齢化しているいま、大きなビジネスチャンスにあふれているのではないでしょうか。

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