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128 アジア諸国の労使紛争に対処する方法

 ここ数年、アジア諸国で労使紛争が多発している。日本から派遣された人たちは、初めて直面する事態に右往左往しているようだが、1960年代までの日本の労使関係も同じような状態だった。アジア諸国の状況は、日本企業にとって「いつか来た道」なのである。

 

 

 1945年の終戦直後、アメリカによる日本民主化政策の一環として、労働組合の結成が奨励された。その際にできた労組の多くは、経営者に敵対することが労組の使命だという考え方を持ったリーダーに率いられていた。各地でストライキが多発し、労使の信頼関係はなきに等しい状態だった。

 

 それが1960年代半ば頃から、少しずつ変化していった。高度経済成長によって従業員の生活水準が向上し、それまでの労組のあり方に疑問を持つ人たちが増えたからである。経営側としっかりと話し合い、協調して課題に対処する方が、結局は組合員の生活向上につながると主張するリーダーが、労組役員の多数を占めるようになった。そして、1970年代の初期に、現在のような協調型の労使関係が成立したのである。

 

 経済の発展段階において、労使間の対立が激化することは避けられない。アジア諸国もその局面に達したと言える。では、私たちはどう対処すればいいのだろうか。

 

 アジア諸国で発生している労使紛争を見ると、大きく分けて2つの原因がある。一つは、企業内部のコミュニケーション不足であり、他の一つは、外部勢力の影響である。

 

 日本から派遣されている経営者が、現地従業員の言い分に耳を傾けず、日本本社の意向を一方的に押しつけていると、企業内部に不満が溜まる。それが何かのきっかけで噴き出し、従業員はストライキという行動をとる。

 

 日本人派遣者は、総じて説明が下手である。なぜここでこうしなければならないのかという点をていねいに説明すれば、大半の現地従業員は納得してくれる。しかし、「日本本社がこう決めたのだから、君たちはこれに従わなければならない」という一方的な言い方をしてしまい、反発を買う。彼らが理解できる論理に沿って、わかってくれるまで説明するという行動が、労使紛争の防止につながる。

 

 もう一つの労使紛争の原因は、外からやって来るものであり、これを防ぐのは容易ではない。労働組合運動は、様々な政治勢力と結びついて展開される場合が多い。企業内の労使関係がうまくいっていたとしても、外部勢力の介入を受けてストライキに突入することも珍しくない。これを完全に防ぐのは無理だが、企業内の労使の信頼関係を強固にしていけば、影響を弱めることはある程度可能だ。

 

 労使紛争の解決に近道はない。現地従業員と常に話し合い、彼らの目線で物事を見られる人物を経営者にするしかない。彼らの話を真剣に聴く忍耐力と時間というコストをかけることでしか、この問題を解決する道はない。現地の人たちに支持される経営を実現すれば、問題は自ずと解決するはずである。

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