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129 労働組合の人材育成機能に注目する(上)

希薄化する労働組合の存在感

 

 労働組合の存在感が徐々に希薄になっている。組織率は17.7%に低下し、減少傾向が続いている。連合が支持してきた民主党が与党から野党に転落し、労働組合の社会的な影響力に陰りが見られる。企業内に目を転じると、パートタイマーや契約社員といった有期雇用の人たちの組織化が進んでおらず、「働く者の多数を代表する」とは言い難い状況にある。

 

 

 では、労働組合の役割はもう終わったのかというと、決してそうではない。労働関係の法律を決める際に開かれる審議会には、労働者の代表として労組役員が必ず入っているし、労働組合が経営側との交渉で決めた労働条件は、労組のない会社が労働条件を決める際の目安になっている。

 

 社会の中で一定の役割を果たしている労働組合だが、存在感を出せていない理由はどこにあるのだろうか。筆者は、「労働組合は役に立っている」と感じられる人たちが増えていないところに原因があると考えている。確かに労働組合はいいことをしている。しかし、それを実感できる場面があまりにも少ない。労働組合の機能をより多くの人に見えるようにすることが、存在感の強化につながるはずである。

 

 

労働組合の原点は人材育成と共済機能

 

 労働組合は、もともと人材育成と共済という2つの機能を持っていた。イギリスで生まれた初期の労働組合はクラフトユニオンと呼ばれ、職人達が集まって組織していた。自分たちで賃金を決めて、彼らを雇おうとする資本家にそれを守らせるとともに、後輩を養成する学校を運営していた。また、病気やケガで働けなくなった時のために休業補償する共済制度(助け合いの仕組み)を持っていた。

 

 現在の日本においても、このタイプの労働組合が存在する。全国建設労働組合総連合(略称:全建総連、組織人員約61万人)である。大工や左官といった職人や一人親方、請負労働者などを組織しており、人材育成、共済、税金対策、仕事の確保といった活動を展開している。

 

 企業別に組織されている労働組合は、もう一度原点に戻って、人材育成と共済に力を入れるべきである。各企業の職場には、たくさんの有期雇用の人たちが働いている。彼らの中には、正社員になりたいと思っている人が一定数存在する。そういう人たちを労働組合が支援するのである。同一企業内で正社員になる道があるのなら、正社員になるための条件を満たせるように支援すればいい。同一企業内での道がないとしたら、他社で正社員になれるように、職業能力を高めるお手伝いをするのである。

 

 職務遂行能力は、実際に仕事をしていく中で高まる。正社員雇用を目指している有期雇用社員には、その人の能力育成を意識した業務分担を工夫するとか、労働組合主催の勉強会を実施して専門知識を身につけてもらうといったことを行う。例えば、大阪府立高等学校教職員組合は、臨時教員として同じ職場で働いている人たちが教員採用試験に合格できるように、独自の勉強会を開催して喜ばれている。

 

 もう一つの機能である共済も労働組合の存在感を高める上で有効である。有期雇用の人たちの中には、公的な保障の枠組みに適切に組み込まれていない層が存在する。そういった人たちに、労働組合が持つ共済制度を適用すれば、社会的なセイフティ・ネットの役割を果たすことになる。この分野で労働組合が持つ可能性はとても大きい。

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