ブログ

130 労働組合の人材育成機能に注目する(下)

実は正社員の育成が喫緊の課題

 

 これまで、有期雇用の人たちを中心に労働組合の役割を述べてきたが、実は、正社員の育成に労組がもっと関わることが喫緊の課題になっている。部下の能力育成は、管理職の重要な役割であり、課の課題達成とともに、管理職にその遂行がゆだねられてきた。しかし、ここに来て、職場の人材育成機能が弱っていると言わざるを得ない状況が随所で見られる。

 

 

 人員削減によって一人当たりの負荷が増大し、管理職も一担当者として自分の業務を抱えて走り回っている。管理職は、毎日のように部下と向き合って対話をし、適切な指導をすることが求められているのだが、自分の課題達成に汲々としていてそれに割く時間的余裕がない。部下は山のように課題を与えられ、それを処理することで時間が過ぎていく。一定の経験は積み上がっていくが、場当たり的であり、体系的に整理された形での職務遂行能力にはなっていない。

 

 このまま放置すると、企業の競争力は弱まり、雇用の場を守ることができなくなる。そこで、期待されるのが労組の人材育成機能である。日々の仕事の割り振りは管理職の役割だが、部下の育成を考えて担当業務を決めるように管理職の意識を高める。また、もともと管理職が持っていた相談機能を、労働組合が補完することも必要になっている。

 

 

労組が果たせる人材育成の役割

 

 これからどういう方向で自らの能力を伸ばしていくのがいいのか、社内公募に手を挙げて他部署に移るのか、あるいは現在の部署でもう少し頑張った方がいいのかなど、組合員は、様々な悩みを抱えながら働いている。これに管理職が応えられないのなら、労働組合が相談にのるしかない。労組にはそういった分野での活動が求められているのである。

 

 人材育成という点では、労働組合主催の勉強会が各社で開催され、好評を得ている。例えば、アメリカの技術系専門誌に興味深い論文が掲載されたとする。その内容は、仕事にすぐに役立つものではないが、その分野の技術者であれば知っておいた方がいいものである。1980年代までであれば、管理職が部下に声をかけて、勤務時間終了後に自主的な勉強会ができた。しかし、最近は、労働時間管理が厳しくなり、そういった勉強会が開きにくくなっている。

 

 そこで、労働組合の出番である。組合員に声をかけて、労組主催の勉強会という形式で論文の内容をみんなで勉強する。一般に、技術者は労働組合活動に消極的だと言われるが、このような場を設けてくれる労組には、彼らも信頼感を持っている。

 

 いい会社にしたい、いい職場をつくりたいという思いは、経営者も労働組合もともに持っている。いい会社、いい職場の中身は、労使で完全に一致するとは限らないが、進もうとしている方向は同じである。

 

 労働組合にできることは、まだまだたくさんある。経営者は、労働組合の可能性を認め、自分たちでは十分に果たせなくなっている役割を労組に補完してもらうことで、いい会社を実現することができるはずである。「労使は車の両輪」という言葉の持つ意味を再確認し、日本企業の競争力向上のために、労使の頑張りに期待したい。

ブログメニュー(タップで開閉)open
再び100エッセー(42) 藤村100エッセイ(100) クロアチア(6) 事業仕分け(4) 働き方(35) 労働条件(5) 労働組合(5) 基本理念(2) 外国語(10) 社会のあり方(17) 職業能力(16) 雑感(18) 高齢者雇用(4)
アーカイブ
ページの先頭へ