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132 就職活動が学生を成長させる理由

考えて判断して行動することの繰り返しが学生を育てる

 

 4年生は就職活動の前と後で大きく成長する。本学が開発したHAT(はたらく力の測定手法)においても、この点は確認されている。

 

 では、なぜ就職活動が学生を成長させるのだろうか。私は、「考えて、判断して、行動することの繰り返し」が学生の成長を促していると考えている。

 

 学生が就職活動に取り組むとき、様々な情報を集めて、考えることから始まる。自分がやりたい仕事は何か;自分に向いている仕事は何か;どうやって自分にふさわしい企業をみつければいいのか;その企業で働いているOBやOGがいれば会って話を聴きたいがどうすればいいのか等々、自分が持っている知識を総動員していろいろなことを考える。

 

 考えるだけでは就職活動は進まない。意思決定をして、行動しなければならない。例えば、希望する2つの会社の説明会が同じ日の同じ時間帯に行われることがわかったとき、どちらかを選ぶ必要が生じる。あるいは、時間を少しずらしてもらうことで両方の説明会に出席できないかと考え、可能性をたずねてみる。判断して、決めて、行動しないと何も進まない。悩んで考えることで人は成長する。就職活動は、その機会になっている。

 

大学は考えて判断し行動する場を提供してきた

 

 大学は、昔から、考えて判断し行動する場を提供してきた。教員から提起された課題について調べて自分なりの考えをまとめ、それをみんなの前で発表して意見をもらう;同じ本を読んで友人と議論する;ある事件に興味を持ち、その事件の背景を調べてゼミで発表して議論する…考えて判断し行動することを繰り返し行ってきた。それが学生の成長につながった。

 

 いまでも大学は、考えて判断し行動する場を提供し続けているはずだが、以前に比べると、その機能が弱くなっているように見える。それは、学生たちが率先して本を読んだり、友人同士で議論したりしなくなったためだと考えられる。

 

 学生に「大学生なんだから本をたくさん読めよ」と言ったところ、次のような返事が返ってきた。「先生、本を読んだって、その内容は大半忘れてしまいます。本に書いてあることは、ネットで調べればすぐに出てくるのだから、本を読むって時間の無駄じゃないですか。」一瞬唖然としたが、次のように答えた。「確かに、読んだ内容は忘れてしまうかもしれない。しかし、本を読むことのいい点は、考えることなんだ。読んでいる間は、文字を追いながら、著者が何を言おうとしているのか、どういう場面設定なのかを考えるよね。それが思考の訓練になる。大学生なんだから、1年間に自分の背丈と同じ高さの本を読むくらいの気持ちでいて欲しいね。」

 

 私たち教員は、学生に対して、考えて判断し行動することをもっと求めていかなければならない。そうすれば、大学1年生から2年生、3年生と学年を追うごとに成長する姿を確認できるはずである。就職活動のときだけ成長するというのでは、あまりにも寂しい。教員から見て学生のためになることを強制的にやらせるのも大事な教育である。

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