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140 情報の真偽を見極める眼を育てる

正解は一つではない

 

 学生から採用面接に関して、次のような質問を受けることが良くあります。「先生、こういう質問をされたらどう答えたらいいのでしょうか?」

 

 正直なところ、答えに困ってしまいます。それは、その質問をした人の意図がどこにあるのかがわからない状態で、何が適切な答えかを知ることはできないからです。

 学生たちは、その点がわかっていないようです。ある質問には必ず適切な答え、すなわち「正解」があると思っています。

 

 面接は対話です。ある質問をして、それに対する答えを受けて、次の質問がなされます。前の質問との関係で次の質問が出てくるのですから、文脈がとても重要になります。

 

 例えば、ある学生が、大学の制度を使って、オーストラリアの大学に3カ月間留学したと話します。面接担当者は、そこでの出来事についていろいろと尋ね、「ところで、TOEICを受けたことはありますか?」という質問をすることがあります。その担当者は、TOEICの点数で合否を決めようと思っているわけではなく、話のついでに聞いてみたのです。

 

 この質問への答えは様々です。「受けたことはありません」と答える学生もいるでしょうし、「受けましたが、500点しか取れませんでした」と答える学生もいるでしょう。胸を張って「受けました。780点でした。」と答える学生がいるかもしれません。そのときの自分の状態を正直に答えるしかないので「正解」は無数にあります。その答えを面接担当者がどう取るかは、そのときの状況によります。面接をする側は、質問をどう受け止め、それに対してどういう答えをするかを見ていると言ってもいいでしょう。

 

 

情報の真偽を見極める

 

 ネットとは恐ろしいものです。面接が終わると同時に、どのような質問をされたかがネット上を駆け巡ります。ネットに上げられた質問は、前後の脈絡を失い、単独の質問として扱われます。先ほどの会話から「あの会社はTOEICの点数を聞くらしい」という噂が流れ始め、「700点はないと内定は出ないそうだ」と、まことしやかな情報を流す人が出てきます。良かれと思ってネット上に載せられた情報が、悪意のある人の手によってねじ曲げられることがしばしば起こります。

 

 「どの情報を信じたらいいのかわからない」という声も学生から良く出てきます。何が本当で何が誤った情報なのか、これを判断するのは一見難しそうですが、実は簡単です。論理的、客観的に考えておかしい情報は、ほぼ間違いなく嘘だからです。ただ、情報の真偽を見分ける眼が自分の中に育っていないと、振り回されることになりかねません。

 

 大学では、論文を書く際、自分の主張を裏付けるためにたくさんの情報を収集して吟味し、確かな情報だけを用いるように指導されます。この訓練をしっかり受けていれば、情報の真偽を見分ける眼が育っていきます。就職活動において「ガセネタ」に振り回されないためにも、アカデミックなトレーニングを通して、情報の真偽を見極める眼を持つことが大切だと思います。

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