ザグレブの水道水の話

ザグレブの水道水(イメージ)

ヨーロッパの水は、一般的にカルシウム分を多く含んでいます。私がいるザグレブの水道水にも、たくさんのカルシウムが含まれています。

 

ザグレブは、人口が100万人近い大都市ですが、水道水はサヴァ川の伏流水をつかっています。簡単に言うと井戸水ですね。これだけの町で井戸水を水道に使っているところはあまりないそうです。井戸水ですから、水道の水はそのまま飲めます。なかなかおいしいですよ

日本人は、カルシウムの摂取量が必要量に達していないといわれますが、ヨーロッパの人たちは、毎日飲む水にカルシウムが入っているので、場合によっては取りすぎになってしまうそうです。

水に含まれるカルシウム分が多いことは、いくつかの問題を引き起こします。

一つは、洗濯物が黒ずんでしまうことです。日本から持ってきた白い下着を洗濯しているうちに、少しずつ灰色がかってきます。きれいになっているのですが、水がいたずらをするのですね。

洗濯物は、乾くとゴワゴワになります。柔軟剤を入れても、ゴワゴワ感は消えません。そこで、こちらの人たちは、洗濯物すべてにアイロンをかけます。下着一枚一枚にアイロンをかけると、柔らかくなり、着心地が良くなります。殺菌効果もあるようです。子供のために洗濯物にせっせとアイロンをかける母親の姿が、どの家庭でも見られます。

カルシウム分の多い水がもたらすもう一つの問題は、お茶を入れたときにおいしくならないことです。日本から緑茶を持ってきていますが、味がいまいちよくありません。しかも、入れてちょっと置いておくと、変色してきます。お茶に含まれるタンニンとカルシウムが反応するのでしょうか。

コーヒーを入れるときにエスプレッソにするとか、紅茶とミルクを混ぜて飲むという習慣は、水の性質から生まれた知恵なのかもしれませんね。

(冒頭の写真は、アドリア海沿岸の町ロヴィーニです。魔女の宅急便の主人公キキが修行する町に似た感じのする町です。)

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
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