上手にメールを使う方法

 メールは便利な情報伝達手段である。こちらの都合のいいときに送っておけば、相手は自分の都合に合わせて開封し、対応してくれる。時差のある外国とやり とりをしなければならないときなど、とても重宝する。しかし、メールには守らなければならないルールがある。ルールを守らなければ、便利な手段がかえって 問題を引き起こしてしまう。メールの上手な使い方を考えてみたい。


(1)メールは、情報を伝える手段であって、コミュニケーションの手段ではない。

 コミュニケーションとは、わかり合おうとするプロセスであり、双方向の意思疎通である。一つの言葉を発して、それを相手がど う受け止めたかを見ながら、次の言葉を選ぶ。相手の反応に応じて次の対応を変えるのがコミュニケーションである。しかし、メールでは、それがやりにくい。 結局は一方通行の情報伝達になってしまう。

 相手の気持ちを推し量りながらメールをやりとりするには、お互いを相当よく知っているか、高度な文章力と読解力を必要とす る。メールは、事実を伝えたり確認するにはいいが、気持ちを伝えるには向いていない。その意味で、ごく限られた場合を除いて、コミュニケーションの手段に はなりにくい。

 コミュニケーションをとろうと思うのなら、直接会って話すか電話で話すのがよい。直接会えば、言葉だけでなく、表情や身振り などの情報も交換できる。「わかりました」という言葉を相手が使うとき、心から受け入れてくれているのか、渋々同意しているのかは、直接会って話していれ ばわかるものである。

 電話も大切なコミュニケーション手段である。相手の顔は見えないが、声の表情を感じ取ることができる。「すぐにやってほし い」と言われたとき、どれくらい急を要しているのかは相手の声のトーンやスピードから知ることができる。今すぐなのか、今日中に対応すればいいのかは、文 面ではなかなか伝わらないことが電話なら伝わる。

 

(2)メールでは事実を簡潔に伝えるように工夫する。

 長いメールを書く人をときどき見かけるが、相手が最後まで読んでくれると思わない方がいい。メールは読み物ではなく、情報を 伝える手段である。相手が読んでくれなければ意味がない。長さとしては、スクロールしなくても読めるくらいが望ましい。そのためには、伝えたい内容を箇条 書きにすることが有効な方法である。例えば、次のように書く。

このメールでお伝えしたいこと(お願いしたいこと)は3つあります。
第1に、○○。
第2に、△△。
第3に、☆☆。

 必要であれば、期限を書き加えておくと良いだろう。詳しい説明が必要であれば、直接出向くか電話をかけて確認するとよい。

 


(3)すぐに返事ができない場合は、メールを受け取ったこと、返事を数日待ってほしいことを伝える。

 メールを出した方は返事を期待している。返事が来ないと、届いていないのではないだろうかと心配になる。届いたメールに対し てすぐに返事が出せないことはしばしばある。そんなとき、とりあえずメールが届いたことを返信してあげると相手は安心する。ちょっとした心遣いが大切であ る。

 冒頭にも述べたように、メールは便利な手段である。便利な手段がトラブルの原因にならないようにするには、その特性を十分理解して、上手に使うことが肝要である。

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール