3つの対話が労組の存在感を高める(2)

コミュニケーションがすべての基本

 現場では、日々多くの問題が起こっている。長時間労働とその結果としてのメンタルヘルス不全、セクハラやパワハラなどのハラスメント、ワーク・ライフ・ バランスの実現のための課題、いまだに残る女性差別の傾向など、労組が取り組まなければならない課題は多い。問題がないように見える職場でも、中に入って いけば、気になることはたくさん出てくる。これらの課題に対して効果的に対処するには、組合員との対話が欠かせない。コミュニケーションの重要性が改めて 問われている。


 コミュニケーションとは、わかり合おうとするプロセスである。私たちは、相手に伝えたいことがあるときやわかってほしいことがあるとき、言葉を介して自 分の意思を伝えたり、相手の考えを確かめようとする。言葉の体系は人によって違うので、相手が持っている言語体系を考慮しながら言葉を組み立てる必要があ る。これを無視すると、「言った」、「いや聞いていない」という不毛の争いに陥ってしまう。年齢が大きく離れた社員とのコミュニケーションが難しいのは、 両者が持っている言語体系が異なるからである。お互いの言語体系の違いに配慮し、言葉を補いながら説明する努力が必要である。

 以心伝心という言葉があるが、企業という組織の中でそのような状況を創り出すのは不可能に近い。「話さなければ思いは伝わらない」、「伝えたいことは繰 り返し話す必要がある」という事実を出発点として、職場のコミュニケーションを考えなければならない。

職場のコミュニケーションを活発にするために

 現在、職場には、雇用形態の異なる人たちが入り乱れて働いている。当自労組の組合員は少数で、契約社員やパートなどの非正規雇用者、派遣社員や請負社員 といった他社に雇用されて当社で働いている人たち、あるいは、グループ会社から出向してきている人など、本当に多様化の程度は半端ではない。労組が昼休み に職場集会を開いたり伝達事項があったりするとき、誰を呼ぶのか、組合員以外に聞かせてもいいのか悪いのかなど、職場委員は頭を悩ませる。

 雇用形態の多様化という事実を前にして、労組はどういった行動を取ればいいのだろうか。本来ならば、同じ職場で働く人たちを全員組合員にすべきであろ う。しかし、それを直ちに実現するのは現実問題として難しい。だとすれば、せめて職場の仲間全員が全員一堂に会して話し合う場を設定することができるので はないだろうか。

 雇用形態の違いを超え、同じ職場で働く仲間として、現状の問題点や解決策を話し合い、少しでも良い状態に持っていくための話し合いを定期的に開催する。 すると、組合員以外の人たちからいろいろな意見が出てくる。それらをていねいに拾い上げ、労組内で検討して経営側にぶつけていくと、もっと働きやすい職場 になるはずである。組合員だけが会社を支えているのではない。働く仲間みんなが、それぞれに役割を担っているのである。労働組合は、職場の活発なコミュニ ケーション実現のために先頭を切って行動する必要がある。

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
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