顧客満足と従業員満足は車の両輪(2)

2.従業員満足の構成要素


 従業員満足は、(ア)仕事基盤のものと(イ)職場の人間関係基盤のものに大別できる。仕事基盤の従業員満足は、さらに、①仕事自体の意義、②顧客の反 応、③達成感、④成長感の4つによって構成される。また、職場の人間関係基盤の従業員満足は、①上司や同僚からの認知、②信頼できる仲間の存在、③言いた いことが言える雰囲気の3つから成っている。以下、これらの7項目についてその内容を整理しておこう。


(1)仕事基盤の4要素

仕事自体の意義

 従業員満足を構成する第一の要素は、自分が担当している仕事の持つ意義である。自分の労働が誰かの役に立っていると実感できるとき、私たちは働く喜びを感じられ、満足感を持つことができる。

 一人でまとまった仕事を担当している場合、意義を感じることはさほど難しくない。しかし、分業が進んでくると、自分の労働が何に役立っているのか見えに くくなる。例えば、大企業の協力会社として小さな部品を作っている会社だと、個々の従業員が担当する仕事の範囲は狭くなる傾向が強い。毎日毎日、同じ作業 を繰り返していると、仕事の意義を見失い、従業員満足は低くなってしまう。仕事の意義を従業員にどう理解させるかが課題となる。


顧客の反応

 従業員は、お客様に育てられると言われる。良きにつけ悪しきにつけ、お客様の反応はより高い質の仕事をしようという励みになる。顧客の要望に的確に応え られればお褒めの言葉をいただけるが、要望を満たせなければお叱りの言葉が飛んでくる。叱られるのは誰しもイヤだが、改善へのきっかけを与えてくださるの だからありがたいことである。

 顧客の反応で最もつらいのは無視されることである。良かったとも悪かったとも言ってもらえないとき、私たちはどうしようもなく不安になる。お客様からどう反応してもらえるかがポイントである。


達成感

 仕事をやり遂げた達成感は、何物にも代え難い快感をもたらす。課題が難しければ難しいほど、達成感は大きくなる。最後までやり遂げたか否かは、従業員満足に影響する大切な要素である。


成長感

 仕事をしていて成長したなと感じられるかどうかも重要な要素である。これは、前述の達成感と密接に結びついている。困難な課題を達成したとき、昨日まで の自分とは違う、ひとまわり大きくなった自分を感じることがある。それが成長感である。これを頻繁に感じられるのか、時々しか感じられないのかによって従 業員満足の水準は変わってくる。


(2)職場の人間関係基盤の3要素

上司や同僚からの認知

 私たちは、自分の存在を他の人から認められたいと思っている。ある仕事を成し遂げたとき、職場の上司や同僚から「良くやったね。お疲れさん!」と声をか けられると、それまでの苦労や疲れが吹っ飛び、「頑張って良かった」という気になる。自分の仕事が認められることは、従業員満足の重要な構成要素である。

信頼できる仲間の存在

 仕事をしていて壁にぶつかったときや難しい状況に追い込まれたとき、相談できる上司や支援してくれる仲間がいることは大きな励みになる。「仕事は一人で するものではなく、みんなで力を合わせて達成するものだ。わからないことがあったら聞けばいいし、苦しいときには、助けてほしいと声を上げればいい。職場 の仲間は、決して君を見捨てない。」ふだんからこのように言われ、仲間の信頼感が育っていると従業員満足は高くなる。

言いたいことが言える雰囲気

 仕事をしていて何か気になるとき、「これって、ちょっとおかしいんじゃないですか?」「私はこうした方がいいと思うんですけど、どうでしょうか」という 意見が言えることも従業員満足に影響を与える。自由闊達な議論が起こっている職場には活気があり、仕事のやらされ感は小さい。組織風土の良さは、仕事に対 する意欲を高め、従業員満足も向上させる。

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール