日本社会を元気にするには?

日本経済が相当厳しい状態にあることは、みなさんも日々実感しておられることと思います。「100年に一度」という表現が使われますが、あながち誇張ではないのかなと感じます

日本をどう立て直すかという課題について、政治家やエコノミストが連日のようにマスメディアに登場し、議論しています。議論を尽くすことは必要ですが、議論して方向性が出たら動き出さなければいけません。議論百出で行動が起こらないのが日本の問題点だなと思います。

新しいことに挑戦するリスクと現状を維持することのリスクについて4日前のブログで書きましたが、今回は、組織がリスクを取らなくなったらどうなるかを考えてみたいと思います

 

ここで「組織」という言葉を使っているのは、企業だけでなく広く人間活動一般を考察の対象としたいからです。大学も、地域の自治会も、労働組合も、すべて「組織」という言葉でくくれます。

リスクを取らなくなった組織の一つは農業だと思います。農業は、本来、とてもリスクの高い産業です。自然環境は毎年変動し、作物の生育に大きな影響を与えます。また、市場の需給バランスによって価格が動くため、豊作だからといって喜んではいられません。人々の嗜好の変化も価格の変動要因です

自然環境と市場という不確実性の高い状況の下で、どの作物をどの程度作付けするかは、経験とカンがが試される世界です。「毎日が真剣勝負」と言っても過言ではないでしょう。

第二次大戦後、日本の農業はリスクを取ることを避けてきたと思います。稲作の技術革新が進み、自然環境の変化に強い品種がつくり出されました。同時に、食糧の安定供給のために、政府が一定の価格で米を買い入れる制度が運用されていました。自然と市場のリスクを取ることなく、安定して収入をあげられる作物に多くの農家が特化するようになった結果、日本の農業は活力を失っていったと思います。

日本社会の活力は、リスクを取って果敢に挑戦する組織にかかっています。では、どうすればそのような組織を増やせるのでしょうか?

政治家が支援のための制度をつくることは必要です。強いリーダーが組織構成員を動機づけることも必要でしょう。でも、もっと大切なことがあります。それは、私たちひとりひとりが、リスクを取って挑戦する組織を応援することです

消費者としてその企業の製品を積極的に購入する;挑戦して破れたとしても、挑戦したこと自体を讃える;挑戦してうまくいかなかった人に、何度も挑戦の機会を用意する―私たちの日々の行動がリスクを取る組織を育てるのです。

他人任せにするのではなく、いま自分にできることを考えて実行する―日本が元気を取り戻す秘訣がここにあると思います

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール