101 若者は大人の行動をまねている

 

指示待ちの若者たち

 

 若年層の労働観がおかしいと言われるようになって、相当時間が経ちました。自分で考えて積極的に動こうとしないとか、いつも受け身で指示を待っているとか、若年層について様々な否定的な意見が出ています。

 

 最近の大学生は、講義に良く出席しています。出席をとらない先生の講義でも、学生たちはまじめに出てきます。では、学生たちが勉強しているかというと、そうとは言えないのが私たち教員の悩みです。本来であれば、講義を聴きながらノートをとるとか、自分が疑問に思ったことを教師に聞いてみるとかするはずですが、そういった学生はあまり多くありません。与えられた課題にはちゃんと答えるのですが、自分で問題をみつけて、その答えを求めて動き回るという姿はほとんど見られません。「学びの主人公は自分自身である」とう当事者意識を持っていないのが、今時の大学生です。「どうすれば積極的な若者が増えるのだろう」と私自身もかねがね思っていました。

 

大人もおかしくなっている

 

 しかし、先日ある会議に出て、電力会社の労働組合委員長の発言を聞いて目が覚めた思いがしました。その方は、次のようにおっしゃいました。

「先生、若者だけがおかしいのではないと思います。昨今の電力不足に対する人々の反応を見ていると、世の中全体が他人に責任をなすりつけようとしているのではないかと思えてなりません。みんなが傍観者になっているのが現代社会ではないでしょうか。」

 

 確かに、批判はするけれど自ら動いて問題を解決しようとしない大人たちが増えています。若者は、そのような大人たちの行動をまねているだけだと言えますね。

 

 子どもは大人を映す鏡だと言われます。子どもたちの行動がおかしくなっているとすれば、それは大人たちがおかしくなっているからです。大人の行動が変わらない限り、子どもたちや若者の行動は変わりません。

 

カッコイイ大人が増えることが解決の近道

 

 では、どうすればいいのか?私は、若者から「カッコイイ!」とあこがれられるような大人が増えていくことがだと思います。難しい問題に直面したときに逃げない、どんな問題にも当事者意識を持って立ち向かう、「責任は私が取るからやって見ろ!」と背中を押してくれる―こんな大人が周囲にあふれてくれば、若年層の問題は自ずと解決されると思います。

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール