私たちは、仕事や生活にとって有用な情報を得るためにさまざまな努力をしています。人と話をしたり、ネットで検索したり、情報を得る手段は無数にあります。良い情報はどこに行けば手に入るだろうかと、常に探索しています。
私は、「良い情報は、良い情報を発信している人のところに集まってくる」と思っています。私たち研究者は、学会に出席して情報交換します。傍聴者として参加して、他の研究者の報告を聴くと多くの情報を入手できますが、報告者として出席したときに比べると、入ってくる情報の量は格段に違います。報告すると同じようなことを考えている人が集まってきて、より深い情報交換ができるからです。
「私もこの分野に興味を持って調べているのだけれど、こういう見方をするといいのではないかと思うが、あなたはどう考えるか。」「先日、別の学会に出て、このような議論をした。あなたは、このような見方についてどう思うか。」学会で発表すると、このような会話が交わされます。これは、情報発信したからこそ入ってくる情報です。
部下との関わりにおいても同じことが言えると思います。常に新しいことに興味を持ち、ちょっとした機会をとらえて、自分が収集した情報を部下に話します。部下の反応はいろいろでしょう。興味を示す部下もいれば、「それがどうしたんですか?」という反応しかしない部下もいるでしょう。でも、ひるんではいけません。繰り返し情報を発信し続ければ、いつか部下の心に響く日が来ます。
これは、他部門の人たちとの関係にも応用できると思います。「これは役に立ちそうだ」という情報があったら、積極的に発信します。役に立つか立たないかは、先方が決めればいいことです。情報を発信していれば、他部門からも情報が入ってきます。こういった情報のやりとりが部門間の協力を強固にし、会社全体の力になっていくと思います。
毎日、一つで良いから情報発信することを心がけてみてください。きっとあなたのところにたくさんの情報が集まるようになるはずです。
投稿者プロフィール

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法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール
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