どこにボールがあるのか、従業員はわかっているのか?

前回に引き続き、組織運営と野球の話です

 

野球チームの目標は、ずばり勝つことです。勝つためには、相手よりもたくさん点を入れることが必要です。攻撃の時はできるだけ多く点を取り、守りでは点を取られないようにすることが鉄則です。

 

組織力は、攻撃の時も必要ですが、守備においてより重要になります。9人のメンバーが守備についたとき、相手チームに点を与えないように行動します。そのためにピッチャーは打ちにくい球を投げ、打たれたときには、できるだけ速やかにアウトを取るよう、各人は行動します

 

守備でフィールドに立ったとき、メンバーの目はボールの行方を常に追います。相手チームの打球が飛ぶ方向によって、各人が果たすべき役割が決まってくるからです。

 

もし、ボールがどこにあるか見えなくなったらどうなるでしょうか?各人がとりあえず自分のポジションを守ることに集中し、連係プレーがなくなります。そして、ボールが飛んできた人だけ忙しく対応することになってしまいます。これでは勝てるはずがありません

 

現実の野球の試合でボールが見えなくなることはありませんが、企業の中では、しばしばボールの位置がわからなくなります。私たちは何のために何を求めて働いているのかが曖昧なまま、とりあえず毎日会社に行って働いているという状態です。

 

企業組織におけるボールとは、企業の使命であり、みんなが力を合わせて達成したい目標です。これを具体的に指し示すのが経営者の責務であり、経営者の指示を受けて部や課のボールを明確にするのが管理職の任務です

 

ボールが見えているからこそ連係プレーが生まれ、勝利に向かって力を合わせることができるのです。多くの日本企業に求められているのは、みんなで追いかけるべきボールの位置を明確にすることだと思います

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール