学生の私語をやめさせる方法

 大学の講義で学生が私語をしてうるさい、という話を聞かれた方は多いと思います。本学でも私語は問題になっています

 

 ただ、最近、以前に比べると少し静かになってきたと言われます。残念ながら学生が講義に集中して聴くようになったからではなく、携帯電話でメール交換をするようになったからです講義室が静かなのはいいのですが、もっと講義の内容に集中してほしいと思います。

 講義に集中させるには、学生の興味に引きつけて話す必要があります。たとえ話を使うとか、「みんなのサークル活動でこんな問題が起こっていないかな?」という問いかけが必要です。学生に限らず、誰だって自分とは関係ない話だと思うと、身が入らないのは当然ですね

 

 講義中の学生の私語をやめさせる有効な方法があります。学生にしゃべらせるのです。「黙れ!」と言われるから私語をするので、「どんどんしゃべれ!」とけしかけます。

 

 私は、講義中、ピンタイプのワイヤレスマイクをつけて、教室の中を歩き回って話をします。そして、私語をしている学生がいたら、その学生たちのところに行って「質問があるんだったらいつでも聞くよ」と言います

 「いま盛んに議論していたけれど私にも何を議論していたのか教えてほしい」という言い方もします。「話したいんだったらどんどん話してほしい。いつでも受け付けるから」と語りかけます。

 

 すると、学生の私語はほとんどなくなります。「北風と太陽」の原理ですね押さえつけようとするから、学生は教師の目を盗んで私語をします。どんどん話せ!と言うと、かえって話さなくなるのです。

 

 私が講義のときに使っているテクニックをもう一つご披露します。学生たちは、教室の後ろの方に座っています。前の席はガラ空きで、後ろから埋まっていくのが大学の講義室です。この学生たちを前に座らせる方法です

 

 私は、講義中に学生に質問します。「君は、これについてどう思うかな?」この質問をいちばん後ろに座っている学生にするのです。そして、次のように言います。

「私は、みなさんの意見を聞きたいので、講義中に質問します。最後列に座っている学生に質問するので、質問されたい学生はいちばん後ろに座って下さい

 これを数回言い続けると、学生たちはだんだん前に座るようになります。「前に座って下さい」と何回言っても動かなかった学生たちが、「質問するよ」というと前に動いてくるのです。

 

 人間の行動っておもしろいですね。何が北風で何が太陽になるのか、そのときどきで見極めて行動したいと思います。

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
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