3年生の就職活動が本格化してきました。法政大学のキャリアセンターには、連日、たくさんの学生が相談に訪れています。
みなさんもご存じのように、新卒者の就職はとても厳しくなっています。先行きの見通しが立たない中で、多くの企業は従業員を増やすことに慎重です。むしろ、退職者の後任を補充しないことによって、従業員数を減らす方向に動いています
学生たちは、マスコミの報道を見て浮き足立っています。一人の学生が訪問する企業は50社を超えていると言われています。不安感からたくさんの企業にエントリーするのですが、結局は中途半端な準備しかできないために、ことごとく面接に失敗するのが実状です。
私は、学生たちに「君たちの競争相手は誰だろうか?」と質問します。通常は、明治や中央、青山の学生という答えが返ってきますが、私は「それは違うよ」と答えます。確かに、東京の私大の学生は競争相手ですが、本当の競争相手は、中国やインドの若者たちです
日本企業は、国際的な視野で最適地を求めています。日本国内よりも他国で実施した方がいい仕事であれば、何のためらいもなく国境を越えていきます。日本人学生が中国やインドの若者を凌駕する能力を持っていなければ、賃金コストの高い日本で経営する理由はありません。日本で行うことに意味があるからこそ、企業は日本人を雇い、日本で経営するのです。
少子化によって新卒者の絶対数が減っていることは事実です。減ったからといって競争が緩やかになったと思ってはいけません。むしろ、グローバル化の急速な進展によって、競争はこれまで以上に激化しているのです
この競争を乗り切る方策は一つしかありません。他の人にはできない何かキラリと光るものを自分の中に持つことです。そのためには、本を読み、他の学生と議論し、これまで行ったことのない場所に行き、未知の分野に果敢に挑戦することです。毎日の努力を怠っていると、時給1000円の仕事で一生を送るしかないことを肝に銘じてほしいと思います
投稿者プロフィール

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法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール
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