まだ科学で解けない13の謎

 大学が長期の休暇に入ると、私は、仕事に直接関係ない本を読むようにしています。それは、経済や経営の本ばかり読んでいると、発想が貧困になる感じがするからです

 

 この夏にまず手に取った本は、草思社から出ている『まだ科学で解けない13の謎』という本です。

http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1757.html

  著者のマイケル・ブルックスは、量子物理学で博士号を取得した科学ジャーナリストです。物理学や化学の難しい話を門外漢にもわかりやすく書いてくれています。

 

 13の謎とは、以下の通りです。

1.暗黒物質・暗黒エネルギー  2.パイオニア変則事象  3.物理の定数の不定

4.常温核融合  5.生命とは何か?  6.火星の生命探査実験  7.“ワオ!”信号

8.巨大ウイルス  9.死  10.セックス  11.自由意思  12.プラシーボ効果

13.ホメオパシー(同種医療)

 宇宙や生命の起源に関わることや人間の脳の働きなど、少々難解ではあるけれど、おもしろい内容ばかりでした

 

 これらの中から「プラシーボ効果」をご紹介しましょう。プラシーボ効果とは、本人が「この薬は効く」と信じて飲めば砂糖の錠剤でも効果を現す現象です。このように説明すれば、「ああ、聞いたことある」という方も多いと思います。

 

 医療の世界では、医者と患者の信頼関係が治療効果を左右すると言われています。「この先生なら必ず治してくれる」と信じて治療を受けると、本当に治るというのです。逆もまた真なりです

 

 病気を治すのは、医者でもなければ薬でもない。自分の身体が自分で治すのだとも言われますね。人間が本来持っている自然治癒力を補ってくれるのが医者であり薬です。ただし、外科的な治療が必要な病気の場合はこの限りではないということが、『まだ科学で…』の中に書かれています。

 

 いつもとは異なる分野の本を読むと、脳が刺激され、発想が豊かになるように思います。もしかしたら単なる思い込みかもしれませんが、思い込みによって視野が広がるなら、それもよしとしましょう

 

 草思社は、おもしろい本を出す出版社です。これまで私が影響を受けた本のいくつかは、草思社が出したものでした。ジャレド・ダイヤモンドの『文明崩壊』もその一つです。

http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1464.html

 

 発想の転換が必要だ!という言葉は良く言われます。では、どうすれば発想を転換できるのかとなると、誰も教えてくれません。たぶん、いつもとは違うものを見たり、違う人と話したり、違う本を読むことが近道なんだと思います。

 

 さて、次は何を読もうかな?

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール