土壌改良

 新年度になって2カ月経ち、新入社員たちも会社に慣れてきたことと思います。中には、「もう辞めてしまった」という新入社員もいるのかもしれませんね

 

 「最近の新入社員は、ガマンができない」とか「ちょっときつく注意すると、すぐに出てこなくなる」といった先輩たちのぼやきをよく耳にします。確かに、そういうところはあります。でも、新入社員が簡単に辞めていくのは、彼らだけの責任なのでしょうか?

 新入社員たちを「種」だとすると、会社は種を植える「土壌」です。種がどんなに良くても、土壌がやせていてはうまく育ちません。

 

 最近の企業の人材育成方法を見ていると、水も肥料もやらずに「さあ育て!」「一日も早く大きくなれ!」とけしかけているように思えてなりません。逆に、水と肥料をやり過ぎてダメにしてしまう例もときどき見かけます

 

 種を上手に育てるには、水をやらなくてもダメだし、やりすぎてもダメになります。植物を育てるとき、どちらかというと水は少なめがいいそうです。植物が水を求めて根を伸ばし、さまざまな生き残りのための努力をすることで強くなると言います。

 

 新入社員に水をやりすぎてはいけません。かといって、放置して自分で水を取って来いと突き放すのも得策ではありません。水がある場所を教え、水のとり方を教えて、あとは本人に自分で取りに行かせるのがいいと思います

 

 植物は、水だけでは育ちません。土壌が大事です。人が育つ会社とそうでない会社があります。これは、まさに土壌の差です。種子(新入社員)が悪いと批判する前に、種子がすくすくと育つ土壌を用意できているかを振り返り、いい土壌に改良していくことが大事だと思います

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール