NHKのBS1で、世界中のテレビのトップニュースを流しています。日本では観られないニュースや映像が流れるので、時間があるときは観るようにしています。
ここ数日、ヨーロッパ各国のトップニュースは、ギリシャの問題です。イギリスの総選挙の結果、第一党が過半数をとれなかったことも大きな話題になっています
このあたりは、日本のテレビも放送していますが、その先になると、流されたり流されなかったり、さまざまです。
ヨーロッパでは、再び、アイルランドの火山噴火が問題になっています。多くの空港が閉鎖され、たくさんの旅行客に影響が出始めています。先月ほどではありませんが、ヨーロッパの空は大混乱しているようです
報道機関は、「公正で中立な報道をしている」と表明しています。しかし、公正で中立な報道は可能なのだろうかと疑問に思います
世界中でいろいろな出来事が起こっています。報道機関には、時々刻々、さまざまなニュースが飛び込んできます。そのどれを取り上げてどれを取り上げないかを決めるとき、ある種の主観や価値観が入ります。ニュースの時間枠に制約があるのですから当然のことですが、まずこの点が公正性や中立性を危うくします。
次に、ニュースの取り上げ方です。番組の最初に取り上げるのか、最後に取り上げるのか、何分使うのかといった点にも主観や価値観が入ります
私は、情報は色をつけないと伝わらないと考えています。情報に色をつけるとは、見出しをつけたり、解説をつけたりすることです。そこには主観が入り、価値観が出てきます。それでいいのです。
ただ一点気をつけなければならないのは、どのような観点からその情報を見ているのかを示すことです。自分は、こういう点を重視してこの現象を見ていることを明示するとは、別の見方もあって別の解釈も可能であることを認めることになります。この態度の方がはるかにていねいであり、率直だと思います
公正で中立な報道はあり得ませんが、正直でていねいな報道はあり得ます。ニュースをご覧になるとき、「このレポーターや記者は、どういう観点からこの現象を見ているのだろうか」という部分を考えてみると、違った側面が見えてくると思います。
投稿者プロフィール

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法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール
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