現状を維持することのリスクと新しいことに挑戦するリスク

リスクという言葉がよく使われます。リスク管理とかリスク対応ということもよく言われます

リスクは、幅広い意味を含んだ言葉ですが、通常は、「危険」という訳語が当てられます。何か良くないことが起こる確率がある程度わかっているときにはリスクを用い、確率がわからないときには不確実性(uncertainty)という言葉を使うと経済学の教科書は教えています。ここでは、漠然とした不安や危険という程度の意味でリスクを使うことにします

私たちは、何か新しいことに挑戦する場合、そこにはリスクがあると考えます。では、現状を維持することにはリスクはないのでしょうか?

現状維持にも、実はリスクがあります。環境が現在と変わらなければ同じ状態を続けることができるでしょうが、環境は毎日のように変わります。昨日まで良かったことが、今日になるとダメになるというのは、よくありますね

私たちは、リスクから逃れて生きることはできません。新しいことに踏み出す場合も現状を維持する場合も、どちらにしてもリスクがともなうのです。

だったら、新しいことに果敢に挑戦した方がいいのではないかと私は考えます。やらなくて後悔するよりも、やってみて失敗して後悔した方が得るところは多いと言います。動くことによって、これまで見えていなかったものが見えてくるからですね

そのように考えると、現状にとどまることの方がリスクが大きいのではないかとさえ思えてきます

新年度になって、新しい職場に配置転換になった方も多いでしょう。「ここは、ひとつ、新しい状態を楽しんでやろう!」というくらいの気持ちで臨んでください。これまで見えなかったものや見えなかった自分が見えてくるはずです

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール