またまた外国語ネタです。
日本の英語教育について、多くの批判がなされてきました。文法偏重である、中学高校合わせて6年間も勉強するのに会話ができるようにならない、発音が下手だ…などなど、批判だらけです
これだけ悪口を聞かされると、事情がわからない人たちは「本当にダメなんだろうな」と思ってしまいます。でも、30年以上、外国人とのつきあいをしてきた経験から言うと、日本の英語教育は決して悪くありません。むしろ、いい線いっていると思います
英語はコミュニケーションの道具です。相手に自分の考えを伝える、相手が何を考えているか理解するための手段です。発音が悪いと伝わりにくいし、相手の話を聞き取れないと会話が成り立ちません。
確かに、一般的な日本人の英語の発音は、あまり褒められたものではありません。お世辞にもうまいとは言えません。でも、通じないかというと、これが何とか通じるのです。英会話講座などで、アメリカ人式の発音を教えるところがありますが、そんな必要はありません。twentyはトゥエンティーであって、トゥエニーでなくてもいいのです
英語には、お国訛りがあります。それはひどいものです。最初は、何語だろうといぶかしがるのですが、そのうちに「ああ、英語か」とわかります。少し話していてある程度のコツをつかめば、理解できます。それは、お互いに何について話しているか共有できているからです。
日本人は、もっと自信を持って話した方がいいと思います。30年前にクロアチアに留学したとき、小さな国際会議に出る機会がありました。そこで、あるアメリカ人にこんなアドバイスをもらいました。
「あなたの英語は十分に通じるよ。ただ、文法的に正確に話そうとしないで、単語を並べてくれれば十分わかるから、そうしてみたら」
当時の私は、律儀な日本人だったのです。一生懸命、英語の文章を組み立てて話そうとしていました。そのアメリカ人のアドバイスを聞いたとき、気がつきました。「そうか。自分が日本語を話すときも、文法的に正しい話し方なんてしていないな。面と向かって話すときは、単語を並べていればいいんだ!」
そうなると、大学受験の時に英語の単語をたくさん覚えたのが生きてきます。単語の正確な綴りを記憶しているのも強みになります
会話がうまくなるには、実践を積み重ねればいいのです。これは、比較的短期間でできるようになります。でも、単語を覚えたり、英語の慣用句を覚えるには時間がかかります。私たち日本人は、時間のかかることをていねいにやってきたのです。あとは、どれだけ場数を踏むかです。
私は、英会話の極意は自信を持って単語を並べ立てることだと割り切り、実行しています
投稿者プロフィール

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法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
詳細:藤村博之のプロフィール
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