組織と人の集まりの違い

 最近の日本企業を見ていると、「組織になっていないな」と思うことが良くあります。単なる人の集まりになってしまっているのです。

 

 人が集まっている状態を私たちは組織とは呼びません。例えば、JR東京駅のホームにはたくさんの人が待っていますが、私たちはその人たちを見て「組織」だとは思いません。電車を待っている人がいるというだけです。

 

 しかし、待てど暮らせど電車が来ない。駅員からの説明もまったくないとなると、人々はざわめき、周囲を見始めます。

 そんなとき、誰かが声をあげます。「こんな状態で待っていてもしかたない。駅長室に説明を求めに行こう!」この声に応えて人々が動き始めたとき、この人間集団は「組織」になります。

 そうです。組織には目的が必要であり、その目的を達成するために、人々が力を合わせることが不可欠です。

 

 では、最近の日本企業の職場はどうでしょうか。フレックスタイムで各人がバラバラに出社してきます。挨拶をすることもなく、そそくさと自分の席に着き、パソコンを立ち上げ、仕事を始めます。

 職場を見わたすと、確かに上司や同僚がいます。しかし、それぞれが自分の仕事に没頭していて、口角泡を飛ばす議論や笑いながら話し合っている姿はほとんど見られません。これでは、単なる人の集まりですね。

 

 組織のおもしろいところは、1+1が3になったり4になることです。各人バラバラで取り組んでいたときはいいアイデアが出なかったのが、みんなで議論しているうちに、気づきがありひらめきが生まれるます。

 この体験を一度でもしたことのある人は、他の人と力を合わせて仕事をするおもしろさやワクワク感を知っているので、組織に属して働きたいと思うはずです。

 

 日本企業に元気がないと言われます。それは、多くの企業が単なる人の集まりになってしまっているからです。職場のあちこちで議論する声が聞こえ、笑い声が聞こえるのが普通の状態です。静かすぎる職場は異常だと思わなければなりません。

 

 では、どうすれば人の集まりを組織に変えることができるのでしょうか?簡単です。目的を共有すればいいのです。

 今日一日の仕事の目的を朝礼で共有する。会議を始めるときには、その会議の目的を確認してから始める。的確な言葉を使って、構成員の意識を合わせることが、人の集まりを組織に変える第一歩です。

 あなたの職場を単なる人の集まりにしないために、管理職任せにするのではなく、気がついたあなたが第一声をあげてほしいと思います。

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
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