100年周期説

 2010年も今日で終わりですね。それぞれにいろいろなことがあった1年だったと思います。苦しかったことや悲しかったことは、引き出しの中にそっとしまって、楽しかったことを思い起こしながら新年を迎えたいと思いますfuji

 

 最近、大した根拠はないのですが、日本は100年周期で良くなったり悪くなったりを繰り返しているように思っています。100年間の前半は停滞・悪化の時期で、後半は躍進・好転の時期です。

 

 1800年からの50年間は、徳川幕府の体制がほころびを見せ、天保の大飢饉(1883年)や大塩平八郎の乱(1837年)など社会不安が高まりました。ペリーが浦賀に来て日本に開国を迫ったのが1853年。この頃から新しい時代への息吹が始まります。1800年代の後半は、日本が欧米列強に伍して国力をつけ、世界で注目される存在になっていった50年でしたsun

 

 日清戦争に勝利し、日露戦争にもかろうじて勝ったころ(1905年)から、傲りが出てきました。1900年代の前半は、日本が傲慢になり、太平洋戦争の敗北に向かって突き進み、結果として国力を大きく落とした50年でしたdown

 

 1900年代の後半は、再び日本が力を取り戻した時期です。1950年の朝鮮戦争を境に、日本の産業復興は急ピッチで進み、その後の高度経済成長を実現しました。しかし、1990年前後のバブルの時、再び傲りに足元をすくわれます。「日本は、もう他国から学ぶことは何もなくなった」と豪語する経済人が現れたとき、私は「危ないな」と感じたのを良く覚えていますbearing

 

 この循環でいくと、2000年からの50年は停滞期ということになります。確かに、この10年を見るとあまりいい話はありませんでした。2005年から人口減少局面に入りましたし、デフレ状態からなかなか抜けられません。

 

 落ち目の時には何をやってもうまく行かないものです。日本もたぶんそうなのだと思います。では、何もせずに嵐が通り過ぎるのを待っていればいいのかというと、そうではないと思います。

 

 私たちが現在の繁栄を享受できるのは、先人たちが努力してくれたおかげです。私たちは、孫や曾孫のためにやらなければならないことがあるはずです。2000年代の後半に日本が再び勢いを取り戻せるかどうかは、これからの40年間にかかっていると思いますeye

 

 では、何をすればいいのか。私は、日本的なものの良さを見直し、それを強さに変えていく工夫が必要だと思います。他国がどんなにまねしてもできないことを、私たちは実現してきました。技術の分野でもサービスの分野でも、日本だからできていることがたくさんあります。それを大切に育て伝えていくことが、後世の日本人に対する私たち責任だと思います。

 

 苦しい時代だからこそ、足元をしっかり見つめ、自分たちの価値=誇れるものをしっかり持たなければなりません。2011年は、2050年以降を見据えた視点を持つ年にしたいと思いますupwardright

投稿者プロフィール

藤村 博之
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学大学院 職業能力開発研究所 代表
NPO法人 人材育成ネットワーク推進機構 理事長
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